奈良の靴下工場日記

くつ下の産地である 奈良県の広陵町で 1927年に創業した株式会社創喜です。靴下工場のアレコレ

創喜のスタッフ紹介シリーズ 「はじめまして出荷・加工担当の ゆーです」

f:id:SOUKI:20210114184425j:plain

 

 

創喜のくつ下はたくさんのスタッフがまごころこめて、企画して、作って、包んで、発送しています。そんなくつ下作りの現場で頑張っているメンバーが自己紹介いたします。

 

f:id:SOUKI:20201228110714j:plain

 

こんにちは! はじめまして「ゆー」といいます。出荷と加工を担当しています。
 

趣味は映画鑑賞で、特技はどこでも寝れること(笑)
どこでも寝れるといろいろ便利なんですよ。旅行の時とかね。

好きな食べ物はパスタ! トマト系、オイル系、クリーム系…想像しただけでお腹が空いてきちゃいます。皆さんはどんなパスタが好きですか??

お昼ごはんはお弁当派。自分の食べたいものがたくさん詰まったお弁当。蓋を開けるときの嬉しさは格別ですよね。

私は創喜で働きはじめて6年目。友達からの紹介がきっかけです。
毎日、自分なりに目標を決めて仕事をしているんですが、それが達成できた日はとっても嬉しいです!嬉しいことはすぐ思いつくんですけど働いていて辛いことは…思いつかないですね…そんなことあったかな?

くつ下を選ぶときのポイントは、デザインと機能性ですね!
ちなみに好きな色はピンクと黒です。

創喜の商品で一番オススメしたいのは「JAZZ MIX」と「ノルディック」の赤です。
ノルディックは先日テレビでも紹介していただいたので注目大なんですよ。
どちらもあたたかく、ふっくらとした履き心地で、カラフルな色使いがとても可愛いのでオススメ。

創喜のくつ下を履いて、心も足元もあたたかくなってもらえたら嬉しいです!!
ブログを読んでくださってありがとうございます!

 

f:id:SOUKI:20201228110714j:plain

 

ゆーさんのオススメくつ下はこちら!

 

www.souki-socks.jp

 

www.souki-socks.jp

 

f:id:SOUKI:20201228110714j:plain

 

www.souki-socks.jp

 

www.souki-knit.jp

 

f:id:SOUKI:20201228110714j:plain

 

創喜のスタッフ紹介シリーズ 「はじめまして生産管理の チールです」

f:id:SOUKI:20201228111706j:plain

 

創喜のくつ下はたくさんのスタッフがまごころこめて、企画して、作って、包んで、発送しています。そんなくつ下作りの現場で頑張っているメンバーが自己紹介いたします。

f:id:SOUKI:20201228110714j:plain

 

こんにちは! はじめまして「チール」といいます。

普段は「チーフ」と呼ばれているんですけど、同僚が「チーフ」を「チール」と間違えて呼んでくれたのが面白くって、この名前を使おうかなと思います。

特技は誰とでもすぐに仲良くなれること。最近一番笑ったのは千鳥の漫才です!

趣味はやっぱりショッピング。お買い物って…楽しいですよね。
それと星野源が大好きです。星野源を観たり聴いたり話したり…。
好きなもの…といえば、甘い物も大好きです。イケナイ…とわかっているんですけど、ついつい毎晩食べちゃいます。洋菓子でも和菓子でも…なんでもこいです!

お外ご飯も大好き!
お昼ごはんも本当は「毎日外食派」でいたいんですけど…残念ながらお弁当作ってます。

創喜で働くようになって8年になります。きっかけは、お友達から紹介されたことです。
仕事をしていてうれしいのは、育ててきたくつ下が旅立っていくとき。創喜で働いていると楽しい事ばかりですね!

創喜の商品で一番オススメしたいのは「COTTON DOT ショート」、その次は「SLUB MIX リブクルー」ですね。洋服に合わせやすいものがおすすめですね。
「COTTON DOT ショート」はどんなスタイルにも合うのでオススメだったんですけど、実は廃盤になってしまったので残念。

「SLUB MIX リブクルー」もどんなスタイルにも合わせやすいですよ。好きな色は「赤」…赤の中でもド赤が大好きなので、「レッドプレーン」はお気に入りです。ファッションの差し色としてよく履いていますよ。

ブログを読んで下さってありがとうございます!
私たち従業員は、和気あいあいとした中でくつ下を生産しております。
そのあたたかさ、ぬくもりが、みなさんの足元に届きますように!

 

f:id:SOUKI:20201228110714j:plain

 

チールのオススメくつ下はこちら!

 

www.souki-socks.jp

 

www.souki-socks.jp

 

f:id:SOUKI:20201228110714j:plain

 

www.souki-socks.jp

 

www.souki-knit.jp

 

f:id:SOUKI:20201228110714j:plain

 

「上質な靴下は上質な糸から作られる」 大正紡績株式会社さんの工場見学―素材編

こんにちは! 創喜です。

 

創喜の靴下に使わせていただいている「糸」を製造する会社の一つ、「大正紡績株式会社」さんの工場見学に行ってきました。

 

大正紡績さんはなんと創業1918年! 100年以上も糸を作り続けている会社なんですよ。

 

(実際に糸を作られている工程は前回のブログへ 「大正紡績株式会社さんの工場見学―工場編」)

 

今回は「素材編」。大正紡績さんで扱われている素材についてもお話を伺いました。

 

大正紡績さんでは麻やシルク、獣毛など様々な素材が扱われていますが、やはりメインはコットンです。コットンはとっても身近な繊維で、靴下などの衣類はもちろんのこと、暮らしの様々なシーンで使われています。

 

こんなにたくさん使われているものの、世界の繊維需要全体の中で占めるコットンの割合は実は3割にもならないのだとか。7割以上がポリエステルなどの化学繊維というのも驚きです。

 

f:id:SOUKI:20201031004306j:plain

 

コットンの主な生産国は、インド、中国、アメリカ、パキスタン、ブラジルなどおよそ80カ国。大正紡績さんが輸入されているのは主に、選りすぐりのアメリカ、インド、アフリカ、南米など10カ国のコットンです。

 

コットンの生産地は北緯40度から南緯35度の間に帯状に集中しています。寒いところでは育てるのが難しいのですね。

 

世界中で様々な品種が育てられていますが、短い繊維(21mm以下)の「アルボレウム」「ヘルバケウム」、中〜長繊維(21〜34mm)の「ヒルスツム」、超長繊維(35mm〜)の「バルバデンセ」という4つに分かれています。古くから日本で作られていた和綿はアルボレウム種に属しているので、繊維が短い品種です。

 

糸にするためにはある程度の長さが必要なので中〜長繊維・超長繊維が使われることが多いそうです。中でも超長繊維は、生産量自体が少なく希少なため価格が高いのですが、つややかでシルクのような風合いがあるためとても人気があります。

 

超長繊維で有名なのは、アメリカの「スーピマ」、エジプトの「ギザ」、インドの「スビンゴールド」、中国の「新疆綿」などです。ただ、新疆綿は国内情勢の問題から大正紡績さんでは扱っていないそうです。

 

産地によって農場の様子もさまざま。例えばアメリカでは広大な農地で、膝丈くらいの綿花が育てられ、大型の機械で収穫されます。収穫する農機具はまるで一軒家ほどの大きさがあるのだとか。とっても規模が大きくてびっくりしますね!

 

f:id:SOUKI:20201031004400j:plain

 

摘み取られたあとの梱包サイズも本当にビッグ!

 

f:id:SOUKI:20201031004435j:plain

 

対照的なのがインドの農地。人の身長くらいに伸びた林のような農地で育てられた綿花は、一つずつ手で摘み取られます。インドでは畑のサイズが大きくないので、アメリカのような大掛かりな機械を入れるよりも、手で摘み取った方が効率が良いのだそうですよ。

 

f:id:SOUKI:20201031004519j:plain

 

工場見学のときにインドの農場から届いたスビンゴールドという品種のコットンを見せていただいたのですが、ゴミが少なくとてもきれいでした。インドの方々の根気強いお仕事のおかげで美しいコットンが日本に届くのですね。

 

f:id:SOUKI:20201031004554j:plain

 

近年よく耳にするようになった「オーガニックコットン」。大正紡績さんは長くオーガニックコットンの取り扱いを続けておられます。そのきっかけはオーガニックコットンの提唱者であるサリー・フォックスさんとの出会いでした。

 

サリーさんとの出会いによって、オーガニックコットンそして環境について考えるようになった大正紡績さん。サリーさんからのご縁で、オーガニックコットンを栽培されていたアルバレスさんやデービッドさんの農場とも契約を結び、今もサステナブルな関係を続けておられるそうです。

 

サリーさんのオーガニックコットンは品種改良の中で、茶色の綿から緑色の綿もつくりだしました。どちらの色もあたたかみのあるやさしい色。綿花そのものに色がついているので、その色を活かせば余計に染色する必要がなくなります。染色のための染料や水を使わなくてよくなるので、とってもエコなコットンなのですね。

 

時代の先陣を切ってオーガニックコットンに注目した大正紡績さんは、今も新たな取組を始めておられます。なんとそれは布を繊維に戻すリサイクル方法です。

 

服を作る工場などでどうしても発生してしまう布切れを、細かく砕いてもう一度繊維に戻すのだそう。

 

f:id:SOUKI:20201031004723j:plain

 

一度布にしたものを解きほぐすので、繊維は短くなってしまうそうなのですが、できあがりのワタは真っ白でふかふか!!まるで新品のようで驚きました。

 

地球環境についてみんなで考えなければならない今の時代。大正紡績さんのように、“もっとサステナブル”になるために、真摯に素材に向き合う姿勢は本当に勉強になりました。

 

大正紡績さん、ありがとうございました!

 

「上質な靴下は上質な糸から作られる」 大正紡績株式会社さんの工場見学―工場編

こんにちは! 創喜です。

 

創喜の靴下に使わせていただいている「糸」を製造する会社の一つ、「大正紡績株式会社」さんの工場見学に行ってきました。

 

大正紡績さんはなんと創業1918年! 100年以上も糸を作り続けている会社なんですよ。糸を作っている工場ってどんなところなのか、見たことがなかったのでワクワクします。

 

f:id:SOUKI:20201022141400j:plain

 

最初に見せていただいたのは、世界各国から届く原料を格納する倉庫です。

 

f:id:SOUKI:20201022141438j:plain

 

大きな倉庫に高く積み上がった原料!! 大迫力でした。国や地域、会社によって梱包の方法や梱包材も色々なのだそう。

 

f:id:SOUKI:20201022141511j:plain

 

さまざまな色や太さの原料を、梱包から取り出して見せていただけました。写真のワタはコットン。この茶色は染めたものではなく、天然の色なんだとか。ナチュラルで優しい色味にうっとりします。

 

f:id:SOUKI:20201022141543j:plain

 

もちろんワタの状態で染めた繊維もたくさん並んでいました。コットン以外に、麻などの植物繊維、ウールやヤクの毛などの獣毛(中には超高級なカシミアも!!)、化学繊維なども。

 

f:id:SOUKI:20201022141613j:plain

 

まず圧縮された綿をほぐして、ゴミを落とし混ぜ合わせる「混打綿(こんだめん)」という工程。これはバラバラの特徴がある原料を混ぜ合わせることによって均一化するためにおこなわれます。色々な種類の原料を混ぜ合わせて均一化することもあるのだそうですよ。

 

f:id:SOUKI:20201022141646j:plain

 

空気を含ませられてふかふかになっていく原料。センサーで汚れた綿やゴミを検知して、エアーガンで落とされていきます。

 

f:id:SOUKI:20201022141709j:plain

 

短い繊維や細かいゴミを取り除き、繊維の方向を大まかに揃える「梳綿(そめん・りゅうめん)・カード」工程に進みます。くしゃっとしていた繊維が布のように広げられて、太いロープのような「カードスライバー」に加工されていきます。

 

f:id:SOUKI:20201022141736j:plain

 

もう一度、繊維の方向を揃えていく「精梳綿(せいそめん)・コーマ」工程。最後に出てくるワタはまるで薄いベールのよう! 真っ白で、とってもきれい。ベール状のワタはきゅっとまとめられて、「コーマスライバー」に整えられていきます。

 

f:id:SOUKI:20201022141805j:plain

 

できあがったスライバーを6〜8本ほどを合わせて引き伸ばし、より一層均一化させる「練条(れんじょう)」工程です。太いスライバーがぐるぐる引き抜かれていくので、見ていると飽きません。

 

f:id:SOUKI:20201022141842j:plain

 

上(奥)から下(手前)の順番に工程が進んでいきます。下に行くほどツヤツヤしているのがわかります。「コットンですよ」と教えてもらわなかったら、シルクに見間違えそうなくらいの輝きです! 繊維の方向を丁寧に揃えていくからこそ、ここまでのツヤ感が生みだせるんでしょうね。

 

f:id:SOUKI:20201022141953j:plain

 

次は「粗紡(そぼう)」です。太いロープ状だったスライバーを、ある程度の細さの糸「粗糸(そし)」にしていきます。次の機械にかけられる太さにするための工程ですが、最終的な糸の太さに応じて粗糸の太さも変わるのだそう。

 

f:id:SOUKI:20201022142015j:plain

 

粗糸を高速で撚って、最終的な製品の太さの糸に作り上げる「精紡(せいぼう)」工程です。ほそ〜い糸がどんどん巻き取られていくのですが、速くて一瞬見るだけだとまるで止まっているかのよう。一本一本を丁寧にチェックされている担当者さんの真剣な表情もかっこいい!

 

f:id:SOUKI:20201022142033j:plain

 

出来上がった糸を巻き取っていく「仕上・ワインダー」工程です。紡績されていく中で、どうしても生じてしまう糸の細すぎる・太すぎる部分や異物などをチェックして取り除いていきます。糸が切れると自動的につなぎ直すことができる機械なんですよ。

 

f:id:SOUKI:20201022142055j:plain

 

出来上がった糸は本当に均一! 最初に見た原料がここまでツヤツヤの糸になるんですね!

 

f:id:SOUKI:20201022142130j:plain

 

 

そして異物が混入していないか、ブラックライトに照らしてチェックしていきます。異物があると、ちがう色に光るのだそうですよ。なんだかおしゃれなチェック方法です。

 

なかなか日常で「糸ってどういう風にできるんだろう」なんて想像するタイミングは無いかもしれません。でも毎日着ている洋服や、カーテン、タオル、座布団やクッション、布団カバーなどなど…糸を使っているものは本当にたくさんあります。使われている糸、一本一本みんなたくさんの工程をかけて作られているんだなぁと思うと、感慨深いですよね。

 

たくさんの人達の丁寧な仕事が積み重なって、上質な糸ができる。その大切な糸から創喜の靴下はできている…と考えると、やっぱり大切に長く使いたいな…と思いました。

 

さて、次回は「工場見学―素材編」です。お楽しみに♪

 

 

 

靴下の歴史<日本編>

f:id:SOUKI:20201007114856j:plain

 

こんにちは! 創喜です。

 

10月もとうに始まっているというのに、台風がじわじわやってくるそうです。

雨風はどのくらい強くなるのでしょうか…皆さまどうぞお気をつけて。

 

さて、前回に続き今回のテーマは「靴下の歴史<日本編>」です。

 

f:id:SOUKI:20200826114713j:plain

 

日本で一番古い靴下は「襪(しとうず)」と呼ばれる、

親指が分かれていない足袋(たび)のような履物といわれていて、

古墳時代に大陸からやってきました。

もちろん伸縮性などない布で作られていて

きんちゃく袋のように足首でしばる紐が付いています。

今でも束帯や十二単を着るような重要な儀式では

使われる場合もあるのだそうですよ。

 

襪よりも一般の人々に使われるようになったのが「足袋」。

足袋の語源は「単皮」だと言われています。

文字のとおり、単衣に皮の底をつけた靴のような履物を指します。

足袋は平安時代に生まれ、

草履が一般庶民に普及するのと共に広まっていきました。

 

「単皮」が「足袋」と書かれるようになったのは室町時代のこと。

素材が皮革から木綿に変わっていったのは江戸時代なのだそう。

木綿の足袋はその後長く使われ続け、

生産高のピークは昭和30年と言われています。

意外にそれほど昔のことではないのでビックリしますね。

 

さて、私たちがイメージする「メリヤスの靴下」は

どのような変遷を経て普及してきたのでしょうか。

 

日本で発見された最古のメリヤスの靴下はなんと

あの水戸黄門こと「徳川光圀」(1628〜1701年)の持ち物だったんです!

光圀は好奇心旺盛な性格だったそうで、

日本人で一番最初に靴下を履いたのも彼だった、とも言われています。

印籠を構えたあの黄門さまが、新しいモノ好きだったなんてなんだか面白いですね。

 

メリヤスや靴下自体がいつ頃日本に伝えられたのか詳細は分かっていませんが

1567〜1637年の南蛮貿易時代には、

手編みの靴下とメリヤス編みが伝来していただろうと言われています。

 

工業として靴下製造を始まったのは明治4年1871年)のこと。

靴を製造をしていた西村勝三が、アメリカから丸編機を輸入し

東京の築地で軍足の製造を開始しました。

翌年には上田長次郎が大阪の中之島にて、靴下編機を使ったメリヤス業を始めました。

 

明治以降、愛知県、兵庫県加古川市奈良県広陵町などで靴下の生産が盛んになり

中でも広陵町は日本一の産地へと成長していきました。

 

f:id:SOUKI:20200826114713j:plain

 

さて、日本の靴下の歴史はいかがでしたでしょうか。

世界に門戸を開いた後の日本の急速な発展は、

当時の人たちからすれば、目をみはるものだったのでしょうね。

伸びない生地しか知らなかった人たちは

メリヤスの伸縮性にきっとびっくりしたのだろうなと思います。

 

大切に育てられてきた靴下づくりの技術を

これからも守り続けていきたい…と思いを新たにしました!

 

f:id:SOUKI:20200826114713j:plain

 

参考資料:『靴下ソムリエ資格認定試験公式テキスト』(日本靴下協会・奈良県靴下工業組合)

写真:『風流六玉川 紀伊 高野の玉川』 (部分)1806年 日本(メトロポリタンミュージアム所蔵)

靴下の歴史<世界編>

f:id:SOUKI:20200925130411j:plain

 

こんにちは! 創喜です。

 

朝晩ちょっと寝苦しさから開放されたと思いきや

気づけばちょっと寝冷えしてた…なんて日も増えてきましたね。

私も玄関に置いたままのサンダルでついついお出かけしたものの

道を歩く人たちの足元は、もう秋っぽくなってました。

 

靴下の売り場を見ていると、色もデザインも秋〜

そろそろあったかい靴下が必要な季節ですよね!

 

というわけで、本日のテーマは「靴下の歴史<世界編>」。

靴下ともう一度じっくり向き合うこの時期に

ぴったり(?)のテーマ!

f:id:SOUKI:20200826114713j:plain

 

靴下の歴史はとっても古いものです。

 

特に寒さ厳しいヨーロッパの北部では、足を守るために

毛皮や布、ワラなどを使っていたそう。

アルプスの氷河から発見された

アイスマン」という5000年以上前のミイラは

動物の皮や木の皮でつくった靴のようなものを履いていて

その中にはやわらかな草が入れられていました。

 

確かにレザーのジャケットだけだと風は防げてもちょっと寒いので

中にふかふかしたセーターを着て保温する感じに似てるかも。

 

砂漠が多く足を保護する必要があったアラビアの遊牧民

紀元前2〜3世紀頃、靴下の原型をつくりました。

また西暦100年頃のローマ軍兵士に宛てた記録にも

“靴下を送った”と書かれているそう。

必需品として認識されていることがわかりますね。

 

私たちが履いている靴下はほとんどがメリヤス編み。

このメリヤス編みのペア靴下で、現存している最古のものは

4〜6世紀頃のエジプトで作られています。

 

皮や布だとなかなか足にフィットしにくいので

メリヤス編みの靴下ができたとき

当時の人たちはきっと感動したでしょうね…ロマンを感じます。

 

さて、この後16世紀頃までず〜っと靴下は手編みで作られていました。

もちろん今も手編みの靴下はオリジナリティあふれる素敵なものですが

全部手編みで靴下をつくるとなると…たいへんですよね?

 

お外で走り回ってどろんこで帰ってくる子どもたち

毎日革靴を履きっぱなしのビジネスマンたち

穴が開いたから、汚れが酷いからといっても

気軽に捨てたり買い替えたりはできないわけです。

 

そんな靴下編みのたいへんさに気づいたのはイギリスのウィリアム・リー。

彼は奥さんが内職の靴下編みを頑張っている姿を見て

「靴下編みの機械をつくろう」と決意。

そして1589年。3年かかって足踏み式の靴下編み機をつくりあげました。

 

新発明を見た当時の人たちは、びっくりする反面

「自分たちの手編みの仕事がなくなってしまう!」と大騒ぎ。

軍隊が靴下編み機を壊してしまうという事件もあったそうです。

リーさんかわいそう…。

 

ウィリアム・リーは諦めずに機械の改良を続け

より速く、細かい目の靴下を編める機械へと進化していきました。

でもイギリスのエリザベス一世に特許を求めましたが、却下。

 

フランスが靴下編み機に興味を持ったので、リーはフランスに渡りましたが

フランス国王アンリ四世の死去によって特許の話は立ち消えに…。

アンリ四世が亡くなった1610年、ウィリアム・リーも生涯を終えました。

 

その後、ウィリアム・リーの弟ジェームスによって

改良された靴下編み機をつくる工場が建てられ

靴下編み機は普及し、靴下工場もつくられるようになっていきました。

 

この靴下編み機は改良されながら使い続けられて

現在の靴下生産技術のベースになっています。

 

さて、世界の靴下の歴史をざっと追いかけてみましたが

ものすごくたくさんの人たちの技術や工夫、そして情熱があったからこそ

今の私たちが気軽に靴下を履くことができるんだ…と感じました。

 

次回は「靴下の歴史<日本編>」です。

どうぞお楽しみに♪

 

f:id:SOUKI:20200826114713j:plain

 

参考資料:『靴下ソムリエ資格認定試験公式テキスト』(日本靴下協会・奈良県靴下工業組合)

写真:靴下 12〜13世紀 エジプト(メトロポリタンミュージアム所蔵)

バンナー機って知っていますか?

f:id:SOUKI:20200907111427j:plain

 

9月になった途端に続けて現れた大きな台風。

被害に遭われた皆さまにお見舞い申しあげます。

次の台風も生まれつつあるそうです。

皆さまくれぐれもお気をつけください。

 

さて、今回ご紹介するのは「バンナー機」という編み機。

写真にも写っているように弊社 創喜では何台も動いているものなのですが

実は歴史的な資料として保管されるような、とっても希少な機械なんです。

特に動かして靴下を編み上げられる状態のものは、

国内でも数えるほどしか残ってないはず。

 

40年ほど前までは一般的に使われていた機械なのですが

国内での靴下生産が減るにつれ、その数を徐々に減らしていきました。

 

もちろん現在では機械そのものを製造している会社はありませんから

中古のバンナー機を色々なところから引き取って

手間をかけて、メンテナンスをしながら使い続けています。

 

まるで生きている化石のようなバンナー機を

使い続けていられるのは、創喜がある同じ広陵町内の

小池機械製作所が力を貸してくださっているから。

 

もともと小池機械製作所では編み機の製造をされていました。

(その頃作られたバンナー機も創喜で今も稼働しています)

靴下工場が海外にシフトしていったことで、編み機の製造はやめられたものの

今も編み機の修理を広陵町で続けていらっしゃいます。

 

そんなレアなバンナー機は、編み方もとても特殊。

一般的な編み機は1本の糸を回転させながら螺旋状に編み上げるのですが

バンナー機は2本の糸が半回転ずつ編み上げていくという構造。

 

2本の糸を使えるという機能を生かしたものが

足の甲と足底の糸を変えたソックスです。

 

f:id:SOUKI:20200907111453j:plain

 

写真の「ボタニカルダイ/オーガニックコットン/バンナー」の場合

つま先・足底・かかとといった穴が開きやすい部分は

クッション性がある太くて丈夫な糸を使い

足の甲や履き口には細い糸を使用するといった編み方ができるんです。

足底の糸は甲の糸に比べると、なんと1.5倍も太い糸を使用しています。

 

ただ糸を変えるだけなら、一般的な編み機でも可能です。

もし色の切り替えがある靴下をお持ちなら、ぜひ裏返して見てください。

色の切り替え部分にふさふさとした糸の切れ端が残っていませんか?

これは、糸を変更する際に切った跡なんです。

 

それではバンナー機で編み上げたソックスを裏返してみましょう。

 

f:id:SOUKI:20200907111508j:plain


 

「あれっ?」っと驚かれませんか?

そう。折り皺以外の見た目が、ほとんど表と同じなんです。

これはなぜかというと、色を変更するときに糸を切らなくてよいから。

 

f:id:SOUKI:20200907111534j:plain

 

拡大して見ると、色の切り替え部分がデコボコしておらず、スムーズ。

だから履き心地もとっても良いんです。

 

じっくりと2本の糸を丁寧に編み上げていくバンナー機。

ストレスフリーな履き心地の靴下でぜひその魅力を感じてみてくださいね。

 

f:id:SOUKI:20200826114713j:plain

 

フルーツやフラワーなどの天然染料で染めあげた優しい風合いのオーガニックコットンを、バンナー機で編み上げた「ボタニカルダイ/オーガニックコットン/バンナー」は、はき口部分にゴムを使っていないので締め付けの少ないやわらかな肌ざわり。足底には綿麻素材を編み込み、吸水発汗性と強度を高めています。バンナー機ならではのフラットな裏地なので、なめらかな履き心地をお試しください。

 

www.souki-socks.jp

 

f:id:SOUKI:20200826114713j:plain

 

www.souki-socks.jp

 

www.souki-knit.jp

 

f:id:SOUKI:20200826114713j:plain