「上質な靴下は上質な糸から作られる」 大正紡績株式会社さんの工場見学―素材編
こんにちは! 創喜です。
創喜の靴下に使わせていただいている「糸」を製造する会社の一つ、「大正紡績株式会社」さんの工場見学に行ってきました。
大正紡績さんはなんと創業1918年! 100年以上も糸を作り続けている会社なんですよ。
(実際に糸を作られている工程は前回のブログへ 「大正紡績株式会社さんの工場見学―工場編」)
今回は「素材編」。大正紡績さんで扱われている素材についてもお話を伺いました。
大正紡績さんでは麻やシルク、獣毛など様々な素材が扱われていますが、やはりメインはコットンです。コットンはとっても身近な繊維で、靴下などの衣類はもちろんのこと、暮らしの様々なシーンで使われています。
こんなにたくさん使われているものの、世界の繊維需要全体の中で占めるコットンの割合は実は3割にもならないのだとか。7割以上がポリエステルなどの化学繊維というのも驚きです。
コットンの主な生産国は、インド、中国、アメリカ、パキスタン、ブラジルなどおよそ80カ国。大正紡績さんが輸入されているのは主に、選りすぐりのアメリカ、インド、アフリカ、南米など10カ国のコットンです。
コットンの生産地は北緯40度から南緯35度の間に帯状に集中しています。寒いところでは育てるのが難しいのですね。
世界中で様々な品種が育てられていますが、短い繊維(21mm以下)の「アルボレウム」「ヘルバケウム」、中〜長繊維(21〜34mm)の「ヒルスツム」、超長繊維(35mm〜)の「バルバデンセ」という4つに分かれています。古くから日本で作られていた和綿はアルボレウム種に属しているので、繊維が短い品種です。
糸にするためにはある程度の長さが必要なので中〜長繊維・超長繊維が使われることが多いそうです。中でも超長繊維は、生産量自体が少なく希少なため価格が高いのですが、つややかでシルクのような風合いがあるためとても人気があります。
超長繊維で有名なのは、アメリカの「スーピマ」、エジプトの「ギザ」、インドの「スビンゴールド」、中国の「新疆綿」などです。ただ、新疆綿は国内情勢の問題から大正紡績さんでは扱っていないそうです。
産地によって農場の様子もさまざま。例えばアメリカでは広大な農地で、膝丈くらいの綿花が育てられ、大型の機械で収穫されます。収穫する農機具はまるで一軒家ほどの大きさがあるのだとか。とっても規模が大きくてびっくりしますね!
摘み取られたあとの梱包サイズも本当にビッグ!
対照的なのがインドの農地。人の身長くらいに伸びた林のような農地で育てられた綿花は、一つずつ手で摘み取られます。インドでは畑のサイズが大きくないので、アメリカのような大掛かりな機械を入れるよりも、手で摘み取った方が効率が良いのだそうですよ。
工場見学のときにインドの農場から届いたスビンゴールドという品種のコットンを見せていただいたのですが、ゴミが少なくとてもきれいでした。インドの方々の根気強いお仕事のおかげで美しいコットンが日本に届くのですね。
近年よく耳にするようになった「オーガニックコットン」。大正紡績さんは長くオーガニックコットンの取り扱いを続けておられます。そのきっかけはオーガニックコットンの提唱者であるサリー・フォックスさんとの出会いでした。
サリーさんとの出会いによって、オーガニックコットンそして環境について考えるようになった大正紡績さん。サリーさんからのご縁で、オーガニックコットンを栽培されていたアルバレスさんやデービッドさんの農場とも契約を結び、今もサステナブルな関係を続けておられるそうです。
サリーさんのオーガニックコットンは品種改良の中で、茶色の綿から緑色の綿もつくりだしました。どちらの色もあたたかみのあるやさしい色。綿花そのものに色がついているので、その色を活かせば余計に染色する必要がなくなります。染色のための染料や水を使わなくてよくなるので、とってもエコなコットンなのですね。
時代の先陣を切ってオーガニックコットンに注目した大正紡績さんは、今も新たな取組を始めておられます。なんとそれは布を繊維に戻すリサイクル方法です。
服を作る工場などでどうしても発生してしまう布切れを、細かく砕いてもう一度繊維に戻すのだそう。
一度布にしたものを解きほぐすので、繊維は短くなってしまうそうなのですが、できあがりのワタは真っ白でふかふか!!まるで新品のようで驚きました。
地球環境についてみんなで考えなければならない今の時代。大正紡績さんのように、“もっとサステナブル”になるために、真摯に素材に向き合う姿勢は本当に勉強になりました。
大正紡績さん、ありがとうございました!