奈良の靴下工場日記

くつ下の産地である 奈良県の広陵町で 1927年に創業した株式会社創喜です。靴下工場のアレコレ

「上質な靴下は上質な糸から作られる」 大正紡績株式会社さんの工場見学―工場編

こんにちは! 創喜です。

 

創喜の靴下に使わせていただいている「糸」を製造する会社の一つ、「大正紡績株式会社」さんの工場見学に行ってきました。

 

大正紡績さんはなんと創業1918年! 100年以上も糸を作り続けている会社なんですよ。糸を作っている工場ってどんなところなのか、見たことがなかったのでワクワクします。

 

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最初に見せていただいたのは、世界各国から届く原料を格納する倉庫です。

 

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大きな倉庫に高く積み上がった原料!! 大迫力でした。国や地域、会社によって梱包の方法や梱包材も色々なのだそう。

 

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さまざまな色や太さの原料を、梱包から取り出して見せていただけました。写真のワタはコットン。この茶色は染めたものではなく、天然の色なんだとか。ナチュラルで優しい色味にうっとりします。

 

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もちろんワタの状態で染めた繊維もたくさん並んでいました。コットン以外に、麻などの植物繊維、ウールやヤクの毛などの獣毛(中には超高級なカシミアも!!)、化学繊維なども。

 

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まず圧縮された綿をほぐして、ゴミを落とし混ぜ合わせる「混打綿(こんだめん)」という工程。これはバラバラの特徴がある原料を混ぜ合わせることによって均一化するためにおこなわれます。色々な種類の原料を混ぜ合わせて均一化することもあるのだそうですよ。

 

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空気を含ませられてふかふかになっていく原料。センサーで汚れた綿やゴミを検知して、エアーガンで落とされていきます。

 

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短い繊維や細かいゴミを取り除き、繊維の方向を大まかに揃える「梳綿(そめん・りゅうめん)・カード」工程に進みます。くしゃっとしていた繊維が布のように広げられて、太いロープのような「カードスライバー」に加工されていきます。

 

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もう一度、繊維の方向を揃えていく「精梳綿(せいそめん)・コーマ」工程。最後に出てくるワタはまるで薄いベールのよう! 真っ白で、とってもきれい。ベール状のワタはきゅっとまとめられて、「コーマスライバー」に整えられていきます。

 

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できあがったスライバーを6〜8本ほどを合わせて引き伸ばし、より一層均一化させる「練条(れんじょう)」工程です。太いスライバーがぐるぐる引き抜かれていくので、見ていると飽きません。

 

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上(奥)から下(手前)の順番に工程が進んでいきます。下に行くほどツヤツヤしているのがわかります。「コットンですよ」と教えてもらわなかったら、シルクに見間違えそうなくらいの輝きです! 繊維の方向を丁寧に揃えていくからこそ、ここまでのツヤ感が生みだせるんでしょうね。

 

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次は「粗紡(そぼう)」です。太いロープ状だったスライバーを、ある程度の細さの糸「粗糸(そし)」にしていきます。次の機械にかけられる太さにするための工程ですが、最終的な糸の太さに応じて粗糸の太さも変わるのだそう。

 

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粗糸を高速で撚って、最終的な製品の太さの糸に作り上げる「精紡(せいぼう)」工程です。ほそ〜い糸がどんどん巻き取られていくのですが、速くて一瞬見るだけだとまるで止まっているかのよう。一本一本を丁寧にチェックされている担当者さんの真剣な表情もかっこいい!

 

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出来上がった糸を巻き取っていく「仕上・ワインダー」工程です。紡績されていく中で、どうしても生じてしまう糸の細すぎる・太すぎる部分や異物などをチェックして取り除いていきます。糸が切れると自動的につなぎ直すことができる機械なんですよ。

 

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出来上がった糸は本当に均一! 最初に見た原料がここまでツヤツヤの糸になるんですね!

 

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そして異物が混入していないか、ブラックライトに照らしてチェックしていきます。異物があると、ちがう色に光るのだそうですよ。なんだかおしゃれなチェック方法です。

 

なかなか日常で「糸ってどういう風にできるんだろう」なんて想像するタイミングは無いかもしれません。でも毎日着ている洋服や、カーテン、タオル、座布団やクッション、布団カバーなどなど…糸を使っているものは本当にたくさんあります。使われている糸、一本一本みんなたくさんの工程をかけて作られているんだなぁと思うと、感慨深いですよね。

 

たくさんの人達の丁寧な仕事が積み重なって、上質な糸ができる。その大切な糸から創喜の靴下はできている…と考えると、やっぱり大切に長く使いたいな…と思いました。

 

さて、次回は「工場見学―素材編」です。お楽しみに♪