奈良の靴下工場日記

くつ下の産地である 奈良県の広陵町で 1927年に創業した株式会社創喜です。靴下工場のアレコレ

バンナー機って知っていますか?

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9月になった途端に続けて現れた大きな台風。

被害に遭われた皆さまにお見舞い申しあげます。

次の台風も生まれつつあるそうです。

皆さまくれぐれもお気をつけください。

 

さて、今回ご紹介するのは「バンナー機」という編み機。

写真にも写っているように弊社 創喜では何台も動いているものなのですが

実は歴史的な資料として保管されるような、とっても希少な機械なんです。

特に動かして靴下を編み上げられる状態のものは、

国内でも数えるほどしか残ってないはず。

 

40年ほど前までは一般的に使われていた機械なのですが

国内での靴下生産が減るにつれ、その数を徐々に減らしていきました。

 

もちろん現在では機械そのものを製造している会社はありませんから

中古のバンナー機を色々なところから引き取って

手間をかけて、メンテナンスをしながら使い続けています。

 

まるで生きている化石のようなバンナー機を

使い続けていられるのは、創喜がある同じ広陵町内の

小池機械製作所が力を貸してくださっているから。

 

もともと小池機械製作所では編み機の製造をされていました。

(その頃作られたバンナー機も創喜で今も稼働しています)

靴下工場が海外にシフトしていったことで、編み機の製造はやめられたものの

今も編み機の修理を広陵町で続けていらっしゃいます。

 

そんなレアなバンナー機は、編み方もとても特殊。

一般的な編み機は1本の糸を回転させながら螺旋状に編み上げるのですが

バンナー機は2本の糸が半回転ずつ編み上げていくという構造。

 

2本の糸を使えるという機能を生かしたものが

足の甲と足底の糸を変えたソックスです。

 

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写真の「ボタニカルダイ/オーガニックコットン/バンナー」の場合

つま先・足底・かかとといった穴が開きやすい部分は

クッション性がある太くて丈夫な糸を使い

足の甲や履き口には細い糸を使用するといった編み方ができるんです。

足底の糸は甲の糸に比べると、なんと1.5倍も太い糸を使用しています。

 

ただ糸を変えるだけなら、一般的な編み機でも可能です。

もし色の切り替えがある靴下をお持ちなら、ぜひ裏返して見てください。

色の切り替え部分にふさふさとした糸の切れ端が残っていませんか?

これは、糸を変更する際に切った跡なんです。

 

それではバンナー機で編み上げたソックスを裏返してみましょう。

 

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「あれっ?」っと驚かれませんか?

そう。折り皺以外の見た目が、ほとんど表と同じなんです。

これはなぜかというと、色を変更するときに糸を切らなくてよいから。

 

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拡大して見ると、色の切り替え部分がデコボコしておらず、スムーズ。

だから履き心地もとっても良いんです。

 

じっくりと2本の糸を丁寧に編み上げていくバンナー機。

ストレスフリーな履き心地の靴下でぜひその魅力を感じてみてくださいね。

 

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フルーツやフラワーなどの天然染料で染めあげた優しい風合いのオーガニックコットンを、バンナー機で編み上げた「ボタニカルダイ/オーガニックコットン/バンナー」は、はき口部分にゴムを使っていないので締め付けの少ないやわらかな肌ざわり。足底には綿麻素材を編み込み、吸水発汗性と強度を高めています。バンナー機ならではのフラットな裏地なので、なめらかな履き心地をお試しください。

 

www.souki-socks.jp

 

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www.souki-knit.jp

 

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